ファッションと愛

ロッテルダムに企画展だけ行うミュージアムがあります。建築家レム・コールハースによるクンストハル(Kunsthal)です。そこで、特別企画(といっても、全部特別企画展ですが)の”Viktor & Rolf Fashion Artists 25 years”をやっているから行かない?とオランダ人友人から誘いを受けました。

名前を聞いて反応が鈍い私に鋭く反応するオランダ人友人。ヴィクター&ロルフ。
「聞いたことあるなぁ。サングラスのブランドだっけ?」と聞く私に、
(サングラスって、あーた)ため息をひとつつき、幼子に聞かせるように「オランダを代表するデザイナーよ」。

というわけで、前知識ゼロのまま、行ってみました。

出迎えてくれたのはベッドのカバーやピローを身にまとったお人形。黒がとてもスタイリッシュです。会場に入っていくと…

漆黒の会場に浮かぶ作品。着る洋服ではなく、見る洋服です。Viktor&Rolfは自らを”ファッションアーティスト”と呼んでいるそうですが、確かにからだを包む素材でどこまで表現できるのか、実験しているようにみえます。女性をコルセットから解放したココ・シャネル、既成概念を破り続けるコム・デ・ギャルソンなど、当たり前を覆してきた先駆者の話をよく聞きますが、Viktor&Rolfも何か強いメッセージを伝えようとしているのでしょうか。上の写真はRussian dollというシリーズです。

下着か洋服かも判別つかないワンピースからどんどん着重ねていき、華やかなドレスがコートになり、最後は茶色い筒のようになります。変身していく美しさとため息をくすっとした笑いで締めくくるユーモア。展示されている作品すべてにおいて、どこかにユーモアが漂っています。

 

度肝をぬく作品群なのですが、威圧感もなく、毒々しさもなく、とがった作品にありがちな攻撃性やはねつけられる感じもせず。ただ、ただ美しい。そして、ファッションやコンセプト、アートなどに疎くとも、その美しさをわかりやすく伝えるシンプリシティさえも感じるのです。変なたとえですが、グランドキャニオンなどの非日常で美しい風景を堪能しているような感覚。

 

京都の竜安寺にインスパイアされて作られたZen Gardenという作品です。黒い服を着た人の群れを石に見立てています。

 

そして、会場を引き立ていたのは作品を着た人形たち。本当にお似合いなのです。お人形さんが着ることで洋服にさらなるリアリティを与えているようです。

後に知ったのですが、ヴィクターさんも、ロルフさんも、オートクチュールの世界をこよなく愛しているそうです。着心地とファッション性が日常着なら、洋服という3Dキャンバスにデザイナーの世界をいかんなく表現するのがオートクチュール。奇想天外なデザインに違和感を感じなかったのは、そんなお二人の愛が作品を通して表現されていたのかもしれません。大袈裟ですが、お二人はこの地球、この世界、この業界、そして人が好きなんだなろうなと思いました。

 

 

2018-08-09 | Posted in 行ってきましたNo Comments » 

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