知られざるご近所さんを訪ねて Parels -Den Haag-

一年中イベントもりだくさんのオランダ、9月の声を聞くとアート系イベントにシフトします。

デンハーグもご多分にもれず、9月末、1日だけ「Parels」というイベントが開かれるということで行ってみました。

行くといっても、ひとつの会場に出向くわけではありません。Parelsは、その日に限り、デンハーグに住むアーティストさんのアトリエや職人の工房を訪ねたり、その日に開かれるコンサートを聞きに行ったりできるのです。ハーグに住んでいるからといって、そのまちのことを知っているとは限りません。ご近所さんの知られざる芸術を訪ね歩いて、住人同士のつながりをつくろうというイベントなのです。確かに普段の生活ではアーティストや職人との接点はないし、お隣で制作に取り組んでいる人が住んでいるかもしれない。アートが生活のそばにあるオランダらしいイベントだと思います。訪ねられるのは29カ所、時間は11時から17時まで。果たして何軒訪ねることができるか?

まず、出向いたのが家のそばの修道院の庭。訪ねるとひとりのおじさんが「やあ、いらっしゃい。オープン時間じゃないけどね、ま、いいか」。私の顔をみて「英語のほうがいいよね」とにっこり笑い、「本来なら庭だけなんだけどね、教会も見せてあげるよ。こっちにおいで」と招き入れてくれました。

おじさんは彫刻家でした。ここは元々カソリックの修道院だったのですが、今は学校兼コミュニティーセンターとなっており、おじさんもとい彫刻家は、ジーザスクライストもブッダもアラーも同じ神様とひとくくりにして、庭のあちこちにオリジナル祭壇を作っていました。

祭壇だけではなく、広い庭のあちこちに探検小屋とか、木陰のハンモックとか、楽しい空間がありました。美しいガーデンというより、ずっといたいような心地よい空間。「どこに何を作ろうかとか、何を置こうかとか、おじさんが決めるの?」と聞いたら、おじさんが愉快そうに首を振りました。「違うよ。庭が決めるんだよ」。人種とか信仰とか国の境目はすっかりなくなり、人も自然も庭も同列に並んでいるのだ。だから、初対面なのにおじさんをずーっと前から知っているような懐かしい感じがしたのだな。密かにメタおじさんと命名しました。

さてお次。Westeindeというところにある、かつての老人ホームをアーティストの工房に蘇らせたSpanjaardshof。3~4の工房がこのプロジェクトに参加しています。

ギリシャ人のアーティストのアトリエも訪ねました。作業工程とか、インスピレーションの源などを少年のように眼をきらきら輝かせてたくさん話してくれました。

 

お次は家の目の前にある建物。大木の向こうにある建物は、どこにでもあるレンガ造りの家なのですが、中はなんとブルガリアの人達の教会でした。手作り感あふれるほっこり教会。ブルガリア人たちの寄り合い場所になっていました。

 

次! 機械おじさんのアトリエです。メカに弱い私はさっぱりですが、アイロンフレームを動力で動かす作品にとりつかれていることはよくわかりました。

 

お次は椅子の張り替え職人と3代続く家具屋さんです。アンティークの椅子の座る部分の土台を葦で組み、さらに葦を編んでクッションにします。湿地帯も多いオランダは良質の葦が多くとれていたそうですが、職人さんの供給元であったある場所で根こそぎ刈り取られる事件が発生し、生え揃うまではフランス産の葦を使用しているそうです。「色、堅さが違うのよね~」と残念がっていました。

 

椅子の張り替え職人さんの向かいに家具屋さんがありました。ツールの多さに驚き。アンティークの椅子が入院中でした。

 

 

わー、ここで17時。タイムアップとなりました。1軒1軒時間をかけてしまったので、たくさん見て回ることは叶いませんでしたが、職人さんのお話を聞くのが大・大・大好きなので本当に楽しい時間でした。いろいろな人が自分のやりたいことをして暮らしている。オランダの多様性を知るとってもよい機会でした。

 

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