歴史を訪ねる秋の週末 Monumentendag -Den Haag-

9月、文化・芸術の季節の到来です。オランダは8月中旬ですでに夏は終わり、9月はとっくに天高く馬肥ゆる秋模様。そんな季節のキックオフかはわかりませんが、9月第2週の週末は、「Monumentendag」という行事が行われます。

この行事、その週末2日に限り、普段は一般公開されない歴史的建造物を訪ねて回れるというもので、入館料は要りません。すべてタダです! 私が暮らすハーグだけではなく、オランダ全土で行われます。つまり国を挙げての行事なのです。

ここハーグでは訪れることができる建築物は全部で83箇所。132ページにも及ぶ冊子も無料配布されます。

各施設の説明つき(オランダ語・英語)、地図つき。2日間にわたって行われるっていっても、なんせ83箇所。狙いを定め、コースどりも考えないと効率よく回れません。冊子が街で無料配布されていたので、ゲットしてしばしカフェで作戦会議。

いろいろ回りましたが、全部載せると多すぎるので、ハイライトをご紹介しましょう。スタートはやっぱりハーグの目玉、ビネンホフ(国会議事堂)から!

騎士の館 Ridderzaal
ビネンホフの中にある建物のひとつ。ビネンホフは13世紀中頃、中世ネーデルラントのホラント伯領の領主であるフロリス4世、ヴィレム2世らが建設を始めたといわれています。騎士の館は1290~95年、フロリス5世が完成させたそうです。9月の第3火曜日、国王と女王が、金の馬車に乗ってこの建物に入り、国会開催の宣言をするプリンシェスダッハ(Prinsjesdag)という行事が行われます。

●旧司法省の議事録室  Voormalig ministerie van Justitie (Handelingenkamer)
こちらもビネンホフ内。オランダ人建築家コーネリス・ペーターズCornelis Hendrik Petersが1876~1883年に建設しました。らせん状の階段が印象的です。19世紀、鉄材が作られなくなり、イギリスから輸入したのだそうです。デザインは中国がモチーフなのだとか。そこかしこにドラゴンが飾られているそうで、色も赤だし、確かにヨーロッパの味付けがされた中国風ですね。ここに納められている議事録は、古い物で1815年に遡るそうです。

●老人ホーム Oude Mannenhuis
1772年建設。Jacob van Beieren van Schagenの遺言により「貧しい人のための財団」を設立され、その財団によってこの建物が建てられました。写真の部屋は、regentenkamerというそうで、いわゆる理事の部屋でしょうか。慈善事業に打ち込む豪商などが集まったのかもしれませんね。1980年までは実際老人ホームとして使われていたそうです。瀟洒なお部屋とは対照的に当時使われいたおトイレも残されています。

●ハーグで最も高い塔がある教会 Jacobus de Meerdere Kerek
さて、お次は教会です。足を踏み入れた途端に壮麗なカソリック系のキリストワールド。この教会の前にプロテスタント系の教会にも行きましたが、装飾は圧倒的に違います。プロテスタント系は教会内のインテリアもシンプルで、信者の寄りあう所といった雰囲気なのですが、カソリックは神に包まれる場所なんですね。アムステルダム中央駅、レイクスミュージアムも手掛けた著名な建築家Pierre Cuypersによる教会で、デンハーグでは彼の作品はこの教会だけだそうです。

建築は1875~1878年。ネオゴシック建築で、フランス初期とラインラント(ドイツ西部のライン川沿岸一帯)のゴシック様式の影響を受けているそうです。

今日に限り、特別に塔にのぼるツアーが行われていました。運よくツアー開始時に教会に着いたので、早速上ります!

パノラマビューを楽しんだ塔をのぼるツアー。実はクライマックスはここからだったのです!

規則正しく組みたてられた木材の数。ひゃー、すごい。口あんぐりで見まわしていたら、「もっと行ってみますか?」と説明員。どこへ、どこへっ? それは……。

天井です!

いや~、神の家の内部は圧巻でした!教会建築というか、建築全般に明るくないので、どこがどうという細かい感想は言えないのですが、単純に重機もない19世紀にこんなもの作っってしまう熱意に脱帽です。

美しい建築物の数々にも感心しましたが、何より感銘を受けたのは、モニュメントデーという行事そのものです。親に連れられてこのような施設を見て回る子ども達は、今は見て回るだけかもしれませんが、自分が住むまちに対する愛着が知らず知らずに育まれていくのだと思います。建築物を見て、昔からの物語を知ることで、そのまちの住人であることの誇りも生まれることでしょう。歴史と現在が断絶することなく続いていることを改めて実感できる素晴らしい行事だと思います。

 

 

 

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