オランダ百貨店に新しい風 Hudson’s Bay
オランダの老舗デパートV&Dが倒産してはや1年。ハーグの目抜き通りにあるV&Dの建物も垂れ幕がかかっているような、半分ぶっ壊しているような中途半端な状態が続いていました。そこにカナダのデパートHudson’s Bayが入ることを耳にしました。Hudson’s Bay。カナダ。なんか大味な名前だなと思っていたのですが、カナダというか北米においては、その起源を17世紀にたどることができる歴史ある小売企業だったのですね。すいませんー。
さて、のろのろ工事も夏頃からややピッチがあがり、アムステルダムに続き、9月7日にオープンしたHudson’s Bay。遅まきながら、どんなもんだかのぞいてみました。
地上階から6階までの大型デパートです。このデパートの対面にはオランダオリジナルの高級百貨店De Bijenkorfがあります。
まず6階から行ってみましょう。6階はベッド&リネン、旅行、キッチングッズ、プレゼントなどが主な商品群です。
- キッチングッズコーナー
回廊部分を広めにとっており、ゆっくり見られます。オランダの百貨店にしては照明が明るめ。廊下と天井を白で統一しているからかもしれません。シンプルながらちょっと気分が上がる雰囲気が何となく銀座の東急プラザに似ていなくもない。それぞれのコーナーが分かりやすいのもいい感じです。
- 子どもの落書きのような楽しさがあるブロンド・アムステルダム
- シンプルとカラフルを融合させたCatchii
- ベッド&リネンコーナー
雑誌をはじめ、食品、キッチン雑貨など、「こだわったおいしい」の先駆け的な存在のDelicious.のものも置いてあります。おされコンビニのStachのストロープワッフルなど、「オランダの今」を品よくセレクトしている感じです。
そして、オランダ人が何より喜んでいるのが、La Placeカフェの復活ではないでしょうか。V&Dのカフェコーナーとしていつも賑わっていたLa PlaceはオランダのスーパーJumboに買収されて消滅の危機を逃れたのでした。
- いつものサンドイッチ、スープのほかその場でグリルするハンバーガー、ピザなども
また、Hudson’ Bayはカラフルなボーダー柄がシンボルだそうで、トートバッグやタオル、マグなどのオリジナルグッズのコーナーもありました。
- トナカイがカナダらしい
4階は子ども用品と女性のアンダーウエアです。
- 子どもと遊ぶコーナー
- 疲れたお父さんと子どもが休むコーナーもゆっくりとっています
4階は男性ファッションフロア。この階は照明を抑え目にしており、天井もグレー。伊勢丹メンズも暗い感じで、男子、万国共通でひそやかにおしゃれを楽しむのでしょうか。
3階は女性ファッションフロアです。オランダのブランドはもちろんのこと、フランス、ベルギー、ドイツ、北欧、アメリカなどから気合いが入ったモードなブランドが揃っています。買うか・合うかは別にして、洋服を見るのが楽しい。大規模セレクトショップである百貨店ならではの醍醐味ですよね。バイヤーがしっかりしているのかな。
- フランス発のアメリカンヴィンテージ
- こちらもフランス発のコケティッシュな La Fée Maraboutée
いろいろある中で、いいなと思ったブランドが2つありました。シンプルですがカッティングや色使いが効いています。偶然にもブランド名がIRO、ICHIと日本風でした。日本の何かにインスパイアされたのでしょうか。
- パリ発。調べたら、音楽業界出身の日本好きの兄弟が立ち上げたブランドだそうです
- ICHIはデンマークから
デンマークや北欧は中間色の色使いでシンプル、フランスは幅が広くてフェミニンタッチが上手、ドイツは堅実な感じで、ベルギーはどこかデコラティブ感を残した感じ。国によってさまざまなヨーロッパのモードを一挙に見られて楽しいです。3階には美容室も入っています。
2階はシューズとジーンズ、そしてイギリス発のファストファッションブランドTOP SHOPが1階と2階に入っています。シューズは品揃えが薄めでした。TOP SHOPは日本では2015年に全店撤退してしまったので「あら~、久しぶり」。日本では「げー、こんなん着るかぁ」の自分とは縁遠いところにあるショップとして認知していたのですが、んー、そうでもない??
- スポーツシューズはオランダでも大人気
- トウが細めの靴、多し
- 探せば私でも着られる服がありそう
2階にはジーンズコーナーもありました。オランダが誇るデニムブランドのG-star RawやDenhamはもちろんいます。
そして1階へ。日本と同じように1階はコスメ、バッグ、アクセサリーコーナーです。階ごとに照明を変えたり、マネキンやちょっとしたインテリアに工夫を凝らしていたりと今まで好印象だったのが、ここへきて崩壊しました。コスメコーナーはまだいい。ひどいのはアクセサリーコーナー。ほんとやる気なし。蛍光灯がちらつくような照明、プロダクトぎゅうぎゅうのディスプレイ、まるで違うデパートのようです。まだ準備段階なのでしょうか…。
- 昭和の展示…
- スカスカ、ぎゅうぎゅう、どうにかならん?
- 高級時計が泣くよ?
あまりのひどさなので、知り合いのオランダ人に訴えたところ、「みんな最上階のLa Placeに行きたいから地上階は絶対回遊するし、そこまで努力しなくてもいいんじゃないの」とのこと。高級デパートのDe Bijenkorfでさえ残念なディスプレイが多々見られるなか、久々に気分が上がったところだったので、この1階の状態は非常に残念です。アムステルダムとかも同じなのか、ハーグがひどいのか、はたまたオープンしたけど1階は未だ準備中なのか…。準備中であることを祈ります。ちなみにバッグも品揃えは今いちでした。アクセサリー、小物に弱いのでしょうか。そうそう。コスメ・香水売り場でひときわ異彩を放っていたのが、ダイソンのヘアドライヤーです。せっかく斬新なのだから、照明とかフロアの色とかもうちょっと工夫すればいいのに~。ポップアップなんですかね。
ファッションにあまり興味がない人が多いオランダにあって、ショッピングの「見る楽しみ、回る楽しみ」が味わえるのは唯一家具屋というのが私感でした(みんな家具には金をかける)。掘り出しブランドを見つけたり、マネキンのコーディネイトを参考にしたりと、とうとう百貨店にも楽しみが下りてきたかもと予感に胸がふくらむHudson’s Bayの訪問でした。あ、でもマネキンのディスプレイにブランド名、価格の札はありませんでした。おいおい(笑)。