トラム150周年式典 HTM 150 jaar! -Den Haag-
旅情をかきたてる乗り物といえば、鉄道。ここオランダではもうひとつコーフンする陸の乗り物があります。それはトラム。トラムはそれぞれの市が運営しており、ここデン・ハーグでは、HTMがトラムのほか、軽便鉄道、バスを運営しています。
2年前の話題になってしまいますが、2014年にHTMは150周年を迎えるということで、7月5日、Grotekerkの名前で親しまれている教会の前で記念式典および新車両のお披露目式が行われました。家の近くということもあり、見学に行きました。
教会の前は人垣ができており、いつものようにデカ人間壁に阻まれ、なかなか見えないので、「ちょっとごめんなさいー」とついついと前列に割り込みをかけました。往年のクラシック車両が次々と入ってきます。
トラムの運行が始まったのは1861年。最初のトラムの動力は馬、1880年代に蒸気、そして1904年に電気に切り替えられたそうです。現在トラムは12路線で、スケベニンゲン、デルフト、ズーテルメールが主な路線です。デルフト線のオープンは1887年、今でも同じルートを走っています。
ところで、オランダには鉄オタならぬ、トラオタはいるのでしょうか。私の前にひょろっとした青年2人組が静かにおしゃべりをしていました。内向きな雰囲気と最前列を陣取っているところからして、鉄道プラットフォームでカメラをかまえる人たちの仲間かもしれない。と、クラシックトラムが入ってくるや、激写が始まりました。オランダにも乗り物オタクがいた! なんだか嬉しくなってしまいました。
- スケベニンゲンのクアハウス行きトラムを激写!
- でっかいぢいちゃんの肩車で最強ビュー
- 「なつかしー!」とぽーる丼。1970年代の車両のようです。前列のトラオタ映り込み
- パーティトラム。いわゆる貸切お座敷トラムですかね。前列のトラオタ映り込み
- ほー、このように連結していたのだ。トラオタのカメラ映り込み
- 美しいですね
と、周囲がざわざわしてきました。この式典、国王が参列されることになっているのです。人垣から歓声と大きな拍手があがりました。どこからやってきたか見逃してしまいましたが、国王が登場しました! その歓声は「国王万歳!」というやんごとなき地位におられる方を崇めたてまつり候ではなく、「よっ!大将~!!!」みたいな感じで、驚愕のカジュアルさです。日本ではありえません。観客人だけではありません、国王による祝辞の前にHTMの代表がスピーチをしたのですが、150周年があまりに嬉しくて舞い上がっていたのか、国王待たせて延々としゃべるしゃべる。多分20分以上しゃべっていたと思います。その間、国王は姿勢も崩さず、きちんと待っておられました。トラムの記念式典で図らずもオランダ国民と王室の距離を実感しました。
- たいがいに切り上げんかい…
- さすが国王
そして、新車両のお披露目です! 今回のメインイベントだったと思うのですが、お披露目タイミングと音楽と花吹雪のタイミングがてんであわず、教会前に車両がとっとと着いてしまいました。
- ワンテンポずれて大量の花吹雪が吹きあがる
新車両。いろいろ意見があると思いますが……。黒ねぇぇぇ。どうなんでしょう。
- 黒と赤の新車両です!
- 式典の後、内部見学できました
オランダの鉄道は、しっとりとした緑の大地、牛さん、最先端の風車などが車窓風景であるのに対し、トラムは石畳のみち、美しい街並み、カフェなどまちなか風景が楽しめます。建物とトラムの距離が近いので、まちのざわめきをそのまま感じることができるのです。一度は乗ってみてください。楽しいですよ。