食堂トラムでGo! Hoftrammm
ハーグ名物のひとつに食堂トラムのHoftrammmがあります。Grote Kerkの名前で親しまれている教会の前が出発点で、教会の前の広場を通る度に阪急電車を思わせる栗色の美しい車体が気になっていました。お一人様€77.5という高めの値段設定なれど、予約は2~3週間待ちは当たり前という人気ぶりです。
ひょんなことからぽーる丼のお友達が招待してくれて、Hoftrammmに乗れることになりました。どんなダイニングが繰り広げられるのか、楽しみです!
- 阪急マルーンなクラシックボディー
7時に乗車が開始されます。車体の色に合わせたスーツで決めたスタッフから「ようこそ~」と、笑顔で挨拶されつつ、車内に乗りこみます。
- 7時といってもまだ日が高い夏の夜
- テーブルにスナックが用意されていました
車内は2人用テーブルと4人用テーブル。厨房というか食事をだす車両を真ん中にして前後の2両が客席になります。発車前に、先ほどのスタッフから簡単な説明があります。オランダ語ゆえよくわかりませんが、ルート説明(地名に触れていたので、そう判断)、何かあればいってね、楽しんでくださいねーということだと思います。途中でフリードリンクだということがわかったので、多分それに触れていたのだとも思います。
- おぢおば率高し
- 車掌さんならぬ、ウェイターからご挨拶。真ん中にいるのは運転手
各席には、メニューも兼ねたパンフレットが置いてありました。車内は白いシート、ブルーのライトが上部と下部を照らしていい雰囲気です。ホフトラムができるまでのビデオも流されています。テーブルにあるグラスを置く位置が円形にくり貫かれていたり、スナックタワーに置かれたおつまみが揺れで落っこちないようになっていたりと、心憎い創意工夫が見られます。
- メニュー兼パンフレット
- 他のお客さんのおめしものからハレの日系であることがわかります
実際、連結とかカーブとかが多いので、けっこう揺れます。でも、前述した通り、揺れ対策がとられているので食べにくかったりすることはありません。ルートは、ざっくりいってハーグとスケヴェニンゲンの周遊コース。車窓から観光名所のビネンホフ、クアハウスなどが見えますが、「皆さま、右手をご覧ください」のアナウンスは一切ありません。
- 出発進行~
- ビネンホフのホフ池を眺める
みなさん、車窓から見える観光名所よりも、走るレストランという特別な空間でのおしゃべり、食事のほうに注意が向いているようです。それも無理ない。なぜかというと、料理のレベルが高いのです!サービスがよいのです!人気の秘密はここか。シェフはハーグではその名を知られ、テレビにもたびたび出演しているPierre Windさん。
おつまみタワーが速やかに撤収され次に、スターターがでてきました。
- スターター
お皿の盛りつけに、久しく体験していなかった「見た目で感動」が静かに押し寄せます。料理はドライハムとスイカとフェタムースと、ガスパチョならぬメロンパチョ試験管スープでした。
わずかながら、あ、平和宮だ!スケヴェニンゲンのクアハウスだ!と写真を撮っている人もいますが、だいたいがおしゃべりに熱中しています。本当にしゃべるの好きね、オランダ人。
- 平和宮
- クアハウス
スケヴェニンゲンでしばらく停車。ウェイトレスさんが忙しく次のお皿の準備をします。
- 1両1人でさばいています
- 魚釣りゲームを思わせるナゾの竿
お次はエントレーです。
- サーモン、タラの深皿に…
- チキンブロスを注ぎます
ベルギー料理のワーテルゾーイ(クリームシチューの一種)にインスパイアされたシェフのオリジナル料理。漁港スケヴェニンゲンにちなんで、魚料理に仕立てています。ナゾの竿は先にハーブが入った袋をスープにつけて香りづけにしてください、という演出でした。おもしろいですね!
そしてメイン料理です。
- 肉の濃い味にドライトマトの酸味
日本語でいうとミスジと言われる肩肉のステーキをじっくり煮込んだ料理。瓶詰はビーツの砂糖煮です。お肉はやわらかいし、味のバランスいいし、ボリュームあるしで大満足です。
そうこうしているうちに日が暮れてきました。車窓では「あれ、さっき通らなかったっけ?」な風景が。ハーグとスケヴェニンゲンはトラムで片道15分くらいなので、時間がもつのかと思いましたが、ハーグ&スケヴェニンゲンを別ルートで往復していることが判明。車窓からの風景はおつまみ程度の存在でしょうか。
- 再びスケヴェニンゲンあたり
- 再びクアハウス
デザートは「お庭」をキーワードにした6種のデザート。植木鉢に見立てた一皿は、土はパフ、緑はゼークラール、下はチョコムースでした。その後、ハーグあめちゃんのHopjesと地元のリカーショップvan Kleefのリカーがでました。この頃はかなりお腹いっぱいになっていましたが、6種すべておいしくいただきました。
予想以上のクオリティの高さに加え、おもしろかったのが車内の一体感です。狭い空間に数時間一緒にいることと、もともと気さくな気質もあって、スタッフやお隣さんと話すようになり、車内の空気が次第に暖まってきます。この日はスタッフの一人がお誕生日を迎えたこともあって、最後はみんなで、オランダのお誕生日おめでとうソングの大合唱となりました。
- 普通のトラムとすれ違うこともしばしば
下車したのは10時。3時間の食堂トラムでした。この日は食事を出すのに時間がかかってしまったそうで、いつもよりも多めに行ったり来たりしたそうです。そういわれてみれば、途中で停車していたりしたよな~。そんなアバウトさもいい感じです。
- 終了地点もGrote Kerk
トラムホフは1日1便。その日に思い立って予約をとろうとしても無理なので、観光客の利用は残念ながらまだないとスタッフ。かなり前もって予約を入れる必要がありますが、お料理のクオリティだけとっても試す価値ありです!
ちなみにシェフは日本の料理のファンだそうで、日本にも2回くらい来日しているそうです。スナックのサラダにシソの葉、小道具に鉄瓶を使っていたり、シェフの創作に日本料理が一役かっているなら嬉しいですね。
- 後ろはパノラマビュー