オランダ最古の森 Haagse Bos
オランダには山はないですが、森はあります。ハーグ中央駅から歩くこと10分、地図で見ると長方形のかたちのHaaagse bos、ハーグの森の縁に着きます。
かつてこの森はアルクマールまで続いていたうです。アルクマールまでは73km。オランダの南から北の海岸近くに生い茂っていたのでしょう。その頃、名称はなく単にDie Hout(森)と呼ばれていたそうです。Houtland(森の土地)がその後、Hollandになったと言われています。オランダ全土に森が広がっていたのかもしれませんね。
要塞を作るために木々が伐採され、森の面積もだんだん狭くなっていきましたが、中世の頃でさえ、森を守るための厳しい規律があったそうです。環境の観点からではなく、伯爵らの格好の狩猟場だったからだそう。自然を残すための理由は、なにも自然保護活動だけとは限りません。
ハーグの森は、そんなオランダ最古の森をその姿にとどめています。広さは110ha。途中で車道が森を分断していますが、森の中は遊歩道、自転車道、馬道などが整備されているので、散策しやすく、いいか悪いかは別にして、つねに街の気配を感じられるので、迷子になる心配もありません。
冬がすぐそこに近づいている晩秋のある日、ハーグの森を歩いてみました。
- 橋を渡り…
- 自然の絵具
やさしい広葉樹が作り出す色。空気まで紅葉に染まりそうです。
- 少しずつ少しずつ秋色に
- 地面に描かれたグラデーション
このハーグの森は、近年、2回、存続の危機に見舞われました。1回目は1911年、オランダを襲った大嵐で約3000本もの樹がなぎ倒されたそうです。2回目は第二次大戦さなか。ここを占領したドイツ軍が、樹を伐採して平地を作り、そこにV1とV2ロケットを配備しました。そのロケットはイギリスを向いていたそうです。その後、Staatsbosbeheerという国の団体が保護管理するようになりました。そのような境遇をたどっているから、最古の場所にあるものの、若い森なんだそうです。
森には小川や池があるので、水鳥が羽を休めにやってきます。
- 池にかかる枝でやすむマガモ
- アオサギとオオバン
ジョギングをしたり、イヌと散歩したり、人々が思い思いに森をさまよっています。
里の森だからか、とても優しく、穏やかな感じがします。あちらこちらにキノコがにょきにょき生えています。森が生きていることを実感する、元気なきのこたち。
2つの森のうち、ヴァッセナーとの境界にある森の中には、ハウスデンボス宮殿があります。佐世保のテーマパークでハウステンボスとワンワードで覚えてしまっていますが、ハウス(家)、ボス(森)で、森の家という意味だったのだと改めて気づきました。
- ハウスデンボス
- 門の前というか、内でエキササイズに励む人々
森の中で秋の深呼吸をたっぷりして、ちょっと身体が冷えたなーと感じる頃、ひと休みに格好な小さなカフェがヴァッセナーとの境界の森の縁にぽつんとあります。
Chalet ten Boschというカフェで、ティータイムはもちろん、クロケットやパンネクッケンなどでしっかりランチも楽しめます。
散歩の後、森の余韻を残すカフェで休めるなんて、最高です。帰りは、森の中に走る別ルートを歩いて帰ってもいいし(ハーグ中央駅まで徒歩40分)、カフェの近くに中心街に戻るバス停もあります。
今回は、晩秋の紅葉を満喫しましたが、初春には花のカーペットが美しいでしょう。運が良ければ赤ゲラが樹をつつく姿が見られるかもしれません。私が訪れたときはドラミングは聞こえたのですが、姿は見えませんでした。残念。
オランダの、街に近いやさしい自然を満喫できるハーグの森。季節を変えて訪れたいです。