コスプレの祭典 Anime

夏、オランダ人のお友達と海水浴に行った時です。お隣で同じく日光浴していた家族がいました。その家族の中に十代後半と思われるちょっとぽっちゃりした女の子がおり、こちらをチラチラ見ていました。そして、意を決したかのように私たちのシマににじり寄ってきました。

オランダ人にしてはめずらしくおずおずとした口調で私に聞いてきました。「あのー、日本の方ですか?」。んなことをまじまじと聞かれたのはオランダ滞在初だったので、少々面食らいながらも「そ、そうですけど」と答えるや、女の子の目がみるみるハートになり、「キャーッ」と悲鳴をあげたではないですか。

そんなリアクションをとられたのも人生初で、あわてふためく私をよそに女の子は運命の恋人にようやく出会えたかのように甘いため息をほっとつき、そして私をまっすぐ見ていいました。

「マンガ」

それか。

女の子が嬉々としてアニメのキャラや番組、マンガの名前をまくしたてるのですが、私が分かったのはかろうじて「Naruto」だけ。女の子は日本語をマンガから勉強しているということで、とっておきの日本語も披露してくれるのですが、アニメのセリフにつき、何をいっているのかさっぱりわかりません。日本文化の草の根エンバサダーとして、どうにか彼女の熱い思いに応えたいのですがジブリもみなければ、ゲームもしない、マンガといえば竹宮恵子、萩尾望都などの24年組どまりな私には、その役割はキャパを超えていました。せっかく会えた日本人なのに、なーんも知らないこの人。多分、がっかりさせたと思います。ごめんね。

前振りが長くなりましたが、実はこの出来事の前、ライデンのにほん祭りの後に、さらに濃いモノを目撃していたのでした。ハーグからチャリでスケベニンゲンへ行く途中、カラフルな人がぞろぞろと歩いているのを目撃しました。彼らだけではなく、そういった団体があちらの道路、向こうの道路にもいます。近眼につき遠目からは派手な色やなーと思っただけだったのですが、近づくと普通の洋服じゃないことがわかりました。コスプレだ。オランダの抜けるような青い空の下、一団は異彩を放ちながら、同じ目的地に向かって歩いています。

その日、ハーグのワールドフォーラムで、Anime2015という日本・アジアのアニメ好き、ゲーム好き、マンガ好き、コスプレ好きの人々が集まるオランダ最大の祭典が開かれていたのでした。

会場入り口は熱気むんむん。プリキュアもいれば、ジブリ系、多分、何かのゲーム系のヒーローの格好をしたオランダ人で溢れかえっています。わかる人しかのれないこの空気感、東京ビックサイトのコスプレショーとまったく同じです。違いは背が高いところぐらいか。

このイベント、調べてみたら1999年から始まっているそうです。その時の入場者数は208名で2014年のハーグ会場ではなんと52倍の約11,000名。東京ビックサイトのコミケの入場者数は3日間で約59万人ということですから、世界最大といわれるその規模は足元にも及びませんが、オランダにおけるアニメファンの急増ぶりは、私には衝撃の事実でした。妖精の国アイルランドや、ムーミンの国フィンランドならまだしも、ここは質実剛健、リアリティの王道をいくオランダですよ。アニメは人を夢中にさせる魔力があるんですね。

会場には入りませんでした。20ユーロもするんだもん。入ったとて彼らと感動を共有できず、日本発の文化に囲まれているのに異邦人化するのも目に見えていたし。

ここに紹介した写真は2014年のもので、2015年のAnimeConプログラムを見てみたら、カラオケ、フィギュアの展示、コスプレ撮影、バトラーズカフェ、 『ヤッターマン』『イブの時間』などの上映、パラパラダンスのワークショップ、メイドカフェが仕える日本酒テイスティングなどなどプログラム盛りだくさん。3日間にわたって渾身のアニメイベントが繰り広げられます。

 

アニメは確実に国境を越えています。

 

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