アムステルダムのライトフェスティバル
12月中旬から1月初旬までアムステルダムではライトフェスティバルが開催されます。ライトフェスティバルと聞いて、表参道や丸の内のイルミネーションを想像していました。運河や道路が色とりどりのライトで彩られ、道沿いのお店も華やいで、クリスマスムード、あるいは新年ムードをそぞろ歩く…のような。
全く違いました! ピカピカライトの飾り方、フェスティバルの方向性、なにもかも。今年で五回目となるライトフェスティバルは、夜とライトのアートだったのです。木に電光を絡ませて色とりどりに光らせるだけでは、コンセプト命作りこみ魂が満足できないようです。さすが、オランダ。
というわけで、ライトフェスティバルの模様をレポートします。行ったのは12月28日。クリスマス後、新年前の狭間だったからか、いつもの賑やかさと変わらず。その日は霧が降りて、しっとりとしたムードになっていました。ちなみに5時でもすでに暗いおかげで、早めに観賞できるのがいいですね。逆に夏の花火大会は夜9時くらいのスタート。めちゃ遅いです。なぜなら日がなかなか沈まないからです。現在と真逆ですね。
- 中央駅前
- 駅前でも馬さん展示が
ライトフェスティバルは陸系、水辺系の2つに分かれています。陸系はIlluminadeといい、設定されたウォーキングルートに23の光の展示物が置かれています。水辺系はWater colorsという名前がつけられ、ヘーレン運河を中心に、20の展示物が水上に浮かんでいます。Water colorsを楽しむなら運河の水上バスが最適です。今回、私は陸系Illuminadeのルートを歩くことにしました。ライトフェスティバルのサイトが立ち上がっていたのでルートを調べたのですが、何だかよくわかりません。なので、アムステルダム中央駅前の観光案内所にいってみました。
- 地図とブックレットとライトのおまけ
地図が置いてあったので一枚もらおうと思ったら、3ユーロ。あらま、有料。108ページにおよぶブックレットは7.5ユーロ。少々お高いですが、この収益金がフェスティバルを支えているので購入することにしました。ブックレットはお好みでいいと思いますが、歩くつもりならルートは全長2.3キロ、あちこちに展示物が散らばっているので地図は必須です。買いましょう。
地図で教えてくれているように、アムステルダム・ミュージックシアターのある近くからスタートします!
- Eye beacon
オランダのUNStudioというインテリア・プロダクトデザインの作品Eye beacon。案内所の機能も備えています。ルートを歩くと、ぼおっと白いものが見えてきました。
こちらはシンガポールから。Rhizome Houseという名の作品で、地下茎を表現しているそうです。
- 白い光に照らされて妖しくも不気味
- 電光魔女が展示物の案内をしていました
アムステル運河にハンガリーからのNexusという作品が見えます。きれい。
そして、エルミタージュ美術館の裏の庭に設けられたウォーキングルートの中心、festival hartに到着。様々な展示物があるほか、案内所、カフェなどもありました。
- 寒い身体に温かなコーヒーが沁みる
- アメリカから。幻想が花咲くというお題
- 見る角度で趣が違います
ニューヴェ・ヘーレン運河沿いでは、暗闇に青く光る展示物がありました。
- 板にタッチすると色が変わる
ロボットと人間のハーモニーを表現した作品だそうです。テーマのレベルが高い。ライトブックによると、今年のテーマは「”ネイチャー”、”テクノロジ”、”サイエンス”について語ろう」。日々の生活でも、何かにつけコンセプトにこだわってんなと感じることが多いのですが、電光の展示もしかり。きれいであるのはもちろん、何かメッセージを送ることも同様に大切なのですね。
さて、ウォーキングルートのトンネルを抜けると、建物に這いのぼる作品がありました。名前はRotifers。日本語でいうと輪形動物だそうです。
会場のひとつアムステルダム植物園の中でも様々な展示物がありました。
- 緑に光る物体は…
- ブタさん!
植物園に隣接する公園でも、奇妙に美しい光の作品が。
- 砂時計(Hourglass)という作品
- Nest(巣)。インドからの作品です
- なんだこの半球体は?
- 眼です。ギョロギョロと動きます
ちなみに植物園の中にはカフェもありました。外はかなり寒いので暖をとりながら休憩できるのが嬉しいですね。
- たき火も用意されていました
- この樹の前で身体を左右に揺らすと樹も揺れます
ウォーキングルートのほうは大方見られたので、運河の会場であるヘーレン運河沿いを歩きながらアムステルダム中央駅へと戻りました。
- フェスティバルでなくても、夜の運河はきれいです
- 運河渋滞が起こっていました
運河の展示物は光が水面に映って、ことさら美しい。
- やっぱりチューリップ。ただしハンガリーから
- 「私の家にようこそ」というタイトルの作品
- 誰もが一度は夢見る虹の橋
- 色が次々変わっていきました
- オランダ女性の伝統的なレースの帽子を表現
- オランダでは一年に15000台のチャリが運河から拾い上げられるそうです
駅からNEMOに至るオーステルドックでも作品が展示されていました。
- プロジェクトマッピングならぬ噴水マッピング
- 丸い光が船体に映し出されます
2時間ほど歩きまくり、身体がすっかり冷えきってしまいましたが、ミュージアムで美しいものを見た後のような満足感に包まれました。創意工夫を凝らした作品だけではなく、夜の植物園の様子や、運河の夜景も堪能できるルート設定にもいたく感心しました。この時期、アムステルダムに来ることがあれば、しっかり防寒して(帽子、手袋もお忘れなく)、ライトフェスティバルもとい「屋外の夜の光のミュージアム」を楽しんでみてください。